飲食業界のリアルな現状について
飲食業界は、インバウンド需要の増加など一部で明るい兆しがある一方で、未だかつてない厳しい状況に直面しています。
実際、2025年の飲食業の倒産件数は過去最多を更新(※東京商工リサーチ等の調査による)しており、コスト上昇に対応できない小規模事業者を中心に淘汰が加速しています。
本記事では、現状の飲食業界が抱える問題点について、リアルな現場視点からお伝えしていきます。
飲食業界の問題点
- エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)
- 原材料費高騰(材料費、容器、消耗品など)
- 人手不足
- その他の外的、内的要因
そもそも「エネルギー価格上昇」や「原材料費高騰」といった外的要因は、個人の努力だけで抜本的に解決することは困難です。
まずはなぜこのような状況になっているのか、そして今後はどうなっていくのかを把握することが重要になります。
①エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)
電気やガスなどのエネルギー価格は、世界情勢や円安の影響などにより高止まりしています。
政府はこれまで断続的に「電気・ガス価格激変緩和対策事業」などの補助金を実施してきましたが、直近で再開された補助金も2026年3月使用分をもって終了しており、2026年4月以降の支援策は未定となっています。
つまり、一時的な補助金に頼らない「恒久的なコスト対策」が不可欠な事実が待っています。
飲食店において、1年間で最も電力を消費するのは7~9月の夏場です。空調(エアコン)を常時使用するため、特別な事情がない限り、大半の飲食店はこの時期に光熱費が跳ね上がります。ガス代についても同様に高い水準で推移しているため、まずはこの厳しい現状をしっかりと把握しておきましょう。
エネルギー価格上昇(主に電気代、ガス代の上昇)への対策
- 節電という名目で空調温度を調節する。(極端な設定は避ける)
- 開け閉め回数の多い冷蔵庫に氷をたっぷり入れた容器を入れ、冷却効果を補助する。
- 給湯器の設定温度を可能な限り下げる。
ただし、光熱費削減のためにスタッフへ過度な負担を強いることはおすすめしません。
費用対効果が本当に高いのかどうかを見極め、業務効率を落とさない範囲で節約に取り組みましょう。
①節電という名目で空調温度を調節する
昨今のエネルギー事情から「節電」への理解が社会的に深まり、以前のように「空調が効いていないとすぐにクレームになる」という状況は少し緩和されました。
空調温度の調整は非常に効果的な光熱費節約術です。
ただし、やりすぎてスタッフやお客様にストレスを与えてしまっては、かえって生産性や顧客満足度の低下につながるため、適切なバランスを見つけることが大切です。
②開け閉め回数の多い冷蔵庫に氷をたっぷり入れた容器を入れ、冷却効果を補助する。
空調温度を上げると、必然的に厨房内はさらに暑くなります。
特に夏場は冷蔵庫や冷凍庫に負荷がかかりやすく、もっとも忙しいタイミングで故障してしまうケースが後を絶ちません。
故障して業者に修理や買い替えを依頼することになれば多額の費用がかかり、せっかくの節約が本末転倒になってしまいます。
そこでおすすめなのが、頻繁に開け閉めする冷蔵庫内に、たっぷりと氷を入れた容器や大きめの保冷剤を置き、冷却効果を補助することです。
食材が詰まっていてスペースがない冷蔵庫も多いとは思いますが、故障のリスクを考え、庫内を整理して実践することをおすすめします(氷が溶けたら定期的に入れ替えてください)。
毎年夏場に冷蔵庫の不具合が起きていた現場でも、この対策によって故障を防げたという事例が多く、個人的にも非常に費用対効果の高いポイントです。
冷凍庫に関しては、扉を全開にせず素早く開け閉めするようスタッフ全員で意識づけを行うとよいでしょう。とにかく「設備を故障させない」という意識を持つことが重要です。
③給湯器の設定温度を可能な限り下げる
ガス使用量の半分以上、厨房設備によっては7~9割を占めているのが実は給湯器です。そのため、給湯器の設定温度を下げることはかなりのガス代削減効果が見込めます。
ガスコンロやオーブンの使用時間をこまめに減らすよりも、給湯器の温度設定を下げる方が圧倒的に費用対効果が高いため推奨されます。
特に夏場は、最低温度(35~37℃程度)に設定しても全く問題ありません。
②原材料費高騰(材料費、容器、消耗品など)
エネルギー価格の高騰や円安の影響で、全産業のコストが上昇しています。日本銀行が発表する【企業物価指数】も常に高い水準で推移しており、仕入れ価格の上昇は避けられません。
この問題に対して、店舗レベルでできる対応策は限られています。
「メニュー数を絞る」「使用する消耗品の種類を減らす」などの工夫に加え、利益を確保するためには無理に価格を据え置かず、適正な価格転嫁(値上げ)を行っていくことが必須です。
③人手不足
飲食・サービス業で働く誰もが痛感しているのが深刻な人手不足です。コロナ禍以前から慢性的な課題でしたが、近年はさらに加速しており、「人手不足倒産」も顕著に増加しています。
厳しいようですが、「好条件を出さなくても優秀な人材が集まる」という時代は終わりました。
そもそも人材を選べるほどの魅力的な職場環境が整っていれば、人手不足には陥らないはずです。
採用してもすぐに辞めてしまう、常に人が足りないといったお店は、店舗側に改善すべき課題があると考えましょう。
人手不足対策
- 給与や待遇の改善
- 労働時間や休日の見直し
- とにかく働きやすい環境作り、人間関係など
- 採用方法や広報活動の工夫
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少人数でもお店が回るオペレーションへの移行
多くの企業がこうした対策に取り組み始めていますが、現場レベルでは職場環境を変えるのに苦労しているケースも多く見受けられます。
「昔からこのやり方だから」という固定観念を一度捨て、「その業務は本当に必要なのか?」「お客様にそのこだわりは伝わっているのか?」「スタッフに過度な負担を強いていないか?」をしっかり見直すことが、人手不足を乗り切る鍵となります。
まとめ
- エネルギー価格上昇への対策:空調温度の適切な調整、開閉回数の多い冷蔵庫への冷却補助(氷・保冷剤)、給湯器の設定温度を極限まで下げる。
- 原材料費高騰への対策:メニューを見直す、消耗品の使用品目を減らす、躊躇せずに適切な値上げを行う。
- 人手不足対策:給与・休日・人間関係など働きやすい環境を整備し、少人数でも回るオペレーションを構築する。
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その他:お店・企業が抱える根本的な問題点を見つめ直す。